骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは

骨は、骨を壊す働き(骨吸収)と骨を作る働き(骨形成)がうまくバランスをとることで、適切な強度で骨が維持されています。骨粗鬆症は、何らかの原因によって骨吸収と骨形成のバランスが崩れ、骨の強度(骨密度)が弱く、もろくなり、骨折しやすくなる病気です。
とくに閉経後の女性や高齢者に発症しやすい傾向があります。その他、喫煙、飲酒なども骨粗鬆症のリスクと言われています。
また、骨は適度な負荷を受けることで骨形成が進みますので、コロナ禍における運動不足も骨が弱くなりやすい原因となっています。

骨粗鬆症の原因

骨粗鬆症の約9割は原発性骨粗鬆症で、その大半は閉経後の女性に起こるもの(閉経後骨粗鬆症)と高齢者(老人性骨粗鬆症)が占めています。残り1割はその他の病気によって二次的に起こる続発性骨粗鬆症と考えられています。

閉経後骨粗鬆症

女性ホルモンの一つであるエストロゲンには、骨吸収(骨を壊す働き)のスピードを緩める効果がありますが、閉経後にその分泌量が減ってしまいます。そのため、閉経後は骨吸収のスピードが加速し、骨形成が追いつかなくなってしまいます。結果、骨は徐々にもろくなってしまいます。閉経前後のタイミングから、このような骨の変化に注意していくことが重要です。
また、女性ホルモンは極端なダイエットでもバランスが崩れます。極端なダイエットをしてしまうと、閉経前の女性であっても骨粗鬆症になることがあり注意が必要です。

老人性骨粗鬆症

加齢に伴い食事量が減ること、カルシウムの摂取量が減ること、腸からカルシウムが吸収されにくくなること、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの合成が減ったりすることなどで、骨粗鬆症が起こると言われています。特にビタミンDは高齢者で不足状態になりやすいので、ビタミンDの多い食品の摂取や適度な日光浴が推奨されています。
また、加齢に伴い外出や運動量が減ることでも骨粗鬆症は進行します。
対策として、バランスの良い食事や適度な外出と運動が重要です。

続発性骨粗鬆症

特定の病気(関節リウマチ、副甲状腺機能亢進症、糖尿病、慢性腎臓病、動脈硬化、慢性閉塞性肺疾患〔COPD〕など)や、薬(ステロイド薬の長期服用、ホルモン治療など)の影響で、骨吸収と骨形成のバランスが崩れて、骨粗鬆症となることもあります。特にステロイドの長期投与は骨粗鬆症リスクが高いため、適切な診療が必要です。

骨粗鬆症の症状

骨密度や骨量(骨の主成分であるカルシウムなど)が低下するだけではなかなか症状は現れません。“いつのまにか骨折”など、知らないあいだに背骨(せぼね)が骨折していることもあり、症状が弱く気が付かないこともあります。
実際、当院でも骨粗鬆症になっていることに気がつかず、いつの間にか症状が進行してしまっている方を多くみかけます。そのような方は、何かのはずみでつまずいた時などに骨折してしまうため、特に注意が必要です。骨折してしまい、その際に初めて骨粗鬆症と診断される場合もあります。このような骨折の治療は、なかなか治りませんので、早めに検査を行い治療していくことが重要です。

骨粗鬆症になると、骨折しやすい場所もわかっています。代表的なのが、脚のつけ根(大腿骨近位部)、背骨(脊椎)、手首、肩(上腕骨近位部)などです。
特に脚のつけ根や背骨の骨折は、“寝たきり”の原因になりやすく、大きな手術が必要になることが多いので注意が必要です。

若い人は、ぶつかったり転倒してもなかなか骨は折れません。しかし、骨粗鬆症がひどくなると、ちょっとした段差で転んだだけで簡単に骨が折れてしまいます。さらにひどくなると、体をひねったり、自身の体重の重みによって骨折してしまうこともあります。

骨粗鬆症は、特に高齢の方や閉経後の女性で進行しやすくなります。これといった症状はないものの、身長が縮んできた、背中が丸まってきた、背中や腰が痛んだり重く感じるなどの症状があれば、骨粗鬆症により骨折を起こしている可能性があります。早めにご相談いただくことをお勧めします。

骨粗鬆症の検査

骨粗鬆症が疑われる場合、診断をつけるための検査が行われますが、その方法として以下のようなものがあります。

骨密度検査

骨の密度を調べ、骨の強さを確認します。
骨密度検査にはDEXA法、SEXA法、MD法、DIP法、超音波法など様々な方法がありますが、当院では最新の骨密度測定装置(ALPHYS LF,アルフィス エルエフ)を導入しました。

  1. DEXA法(日本骨粗鬆症学会のガイドラインで最も強く推奨される検査法)が可能となりました。
  2. 最も日常生活に影響が出る腰椎(腰の骨)と大腿骨頚部(股関節の骨)を直接測定することができます。
  3. 微量なX線を当てて正確に骨密度を測定することができます。

20~44歳の健康な成人の骨密度を100%としたときの骨密度(骨密度若年成人平均値〔YAM; Young Adult Mean〕)を計測し、低い方には骨代謝マーカーやレントゲンの追加検査を提案させていただきます。

費用

これまで通り、健康保険が適応されます。
*1割負担の方:450円(大腿骨を測定しない場合は360円)
*3割負担の方:1,350円(大腿骨を測定しない場合は1,080円)

骨代謝マーカーの検査(血液検査、尿検査)

主に骨密度が低下している方を対象に、その原因を調べるために行います。
当院では主に血液を採取し、骨代謝の指標である骨代謝マーカーの値を測定し、骨吸収と骨形成のバランスを確認しています。この結果を参考に、骨吸収の強い方には「骨吸収を弱めるお薬」を、骨形成の弱い方には「骨形成を強くするお薬」を処方するなどの対応を行っています。そのため、この検査は治療方針に大きく関わる、とても重要な検査と言えます。当院では、半年ごとに測定をお勧めさせていただきます。

レントゲン検査(X線撮影)

背骨(主に胸椎や腰椎)をX線撮影し、骨折や変形の有無を調べます。ご高齢の方は、特に症状がないのに「いつの間にか骨折」 と言われる背骨の骨折が見つかることがあります。骨粗鬆症の強い方は、背骨の輪郭が見にくくなり、弱々しく見える傾向にあります。

骨粗鬆症の治療・予防

骨粗鬆症は、老化や閉経だけが原因ではありません。日頃の食事や運動、喫煙、飲酒などの生活習慣も大きく関係することが分かっています。そのため、この病気は「骨の生活習慣病」とも呼ばれています。そのため、骨粗鬆症の予防と改善には食事療法、運動療法や禁煙なども重要です。

食事療法

よい骨を維持するためには、骨の主成分であるカルシウムやたんぱく質、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、骨の代謝に必要なビタミンKなどが必要です。

カルシウムは食品として700~800mg/日、ビタミンDは400~800IU/日、ビタミンKは250~300μg/日を摂取することが推奨されています。
これらの栄養素を積極的に摂りながら、バランスのとれた食生活を心がけることが重要です。ただし、カルシウムを摂り過ぎると尿路結石などの病気を起こすことがありますので、取りすぎには注意が必要です。
また、過度な喫煙や飲酒はカルシウムの吸収を妨げてしまうので、注意が必要です。

積極的に摂取しておきたい栄養素を多く含む食品

カルシウムの多い食品
牛乳、乳製品、干しえび、しらす、ひじき、わかさぎ、いわし、ししゃも、大豆製品、えんどう豆、小松菜、モロヘイヤなど
たんぱく質の多い食品
肉類、魚類、卵、乳製品、大豆製品など
ビタミンDの多い食品
あんこうの肝、しらす干し、いわしの丸干し、すじこ、鮭、さんま、かれい、うなぎ、煮干し、干し椎茸、きくらげなど
ビタミンKの多い食品
納豆、抹茶、ブロッコリー、キャベツ、サニーレタス、モロヘイヤ、春菊、おかひじき、小松菜、ほうれん草、菜の花、かいわれ大根、にらなど

運動療法

骨は筋肉によって支えられています。
そのため、体をしっかり支えられるように、日頃からしっかり運動し筋肉を鍛えておくことが重要です。また、適度な運動は、バランス感覚の向上、転倒防止にもつながります。

運動量は、強い負荷をかける必要はなく、息がはずむ程度の有酸素運動で充分といわれています。
具体的には、ウォーキングであれば1回30分程度が目安となります。
可能であれば 週3回以上、継続的に行うようにすると効果的です。

薬物療法

薬物療法も重要です。
治療薬には、主に骨の破壊を抑制する薬(ビスフォスフォネート製剤、選択的エストロゲン受容体調整薬〔SERM〕、デノスマブ)、骨の材料を補う薬(カルシウム製剤、活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK製剤)、骨をつくる薬(副甲状腺ホルモン製剤)などがあります。骨密度や骨代謝マーカーなどの検査を行い、適切な問診を行うことで使用するお薬を選択していきます。当院では、しっかりとした検査を行い、一人一人にベストな治療を提案させていただきます。

骨粗鬆症の薬は、近年どんどん新しい薬が誕生しました。そのため、これまで治療が難しかった方々にも、より高度な治療ができるようになってきました。一部、少し扱い方が難しいお薬もありますが、当院では、専属看護師が丁寧にその使用方法を教えてくれます。良い薬を、一人でも多くの方々にお使いいただけるよう、最善を尽くして対応させていただいております。何かご不明な点があれば、いつでもご遠慮なくご相談ください。